シェンムー 一章 横須賀

シェンムー
対応機種DC
ハードドリームキャスト
ジャンルアクションアドベンチャー
発売元セガ・エンタープライゼス
発売日1999年12月29日

鏡を巡る運命の叙事詩……続編まだ?
ある青年の旅立ちを描いた超箱庭ゲーム。
作り込みがハンパないです。

ドリームキャストのキラータイトルとして鳴り物入りで登場したアクション・アドベンチャー。
70億円というとてつもない制作費の割には、販売本数は今ひとつだったという苦い歴史があり、セガがハード事業から撤退するきっかけになったとも噂された。
当時のテレビCMで大々的に宣伝されていたのが切ない。
(;´д⊂)
ジャンルの正式名称はFREE(Full Reactive Eyes Entertainment)というらしいが、独創的過ぎるのでとりあえずアクションRPG※に分類しました(笑)。
鈴木裕さんごめんなさい。
※厳正なる協議の結果、アクションアドベンチャーに再分類しました(二転三転スマン)

シェンムー
オープニングの一幕
シェンムー
ヒロインの一人・シェンファ

時は1986年。横須賀。
道場を営む芭月武館にある日突然、謎の中国人が現れる。
胸騒ぎを感じた主人公芭月 涼は急いで道場に帰ってみると、父・巌が中国人と対峙していた。

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「鏡はどこだ」と中国人。
「答える気は無い」と巌。
かくして2人の闘いが始まったが…

藍帝(ランテイ)と呼ばれるその男は、奇妙な武術で巌を圧倒する。
加勢に入った涼も手も足も出ず、結局鏡を奪われ敗北。
巌は命を落としてしまう。
涼は復讐を誓い、去った中国人の行方を追跡するべく、単身捜索を開始する…。

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ストーリーはこんな感じで、プレイヤーはわずかな手掛かりを頼りに近所から調査し始め、徐々に舞台を横須賀の町全体に広げていく。
ゲームの基本は町の住民への聞き込みであり、前項でFREEというジャンルだと説明したが、大雑把に言うと「フラグ立てアドベンチャー」と言った方が分かりやすいかもしれない。
当時としては最先端のグラフィックに目を奪われがちだが、このゲームの恐ろしいところは、驚愕の作り込みである。

シェンムー
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キャラクターの人物造形がかなりよく出来ており、登場人物一人一人の顔が細かくモデリングされている点は恐れ入る。
同じ顔は2つと無く、本物の人間のように左右非対称になっているのもリアル。
更に町人には生活習慣がインプットされており、ちゃんとゲームの世界で「生活」をしているのだ。
「あの人いつもどこに行ってんだろう」と気になって、朝から晩までストーキングしていたのも良い思い出である。

台詞の量も膨大で、全て音声で表現されているのも凄い。
他には時間の概念も存在し、夜になれば自宅に帰って寝ることになる。
驚きなのは、1986年当時の神奈川県の気象情報が叩き込まれており、天候まで再現されている点。
天気予報は177で聞けるぞ。別に雨が降っても傘は差さないので意味は無いですが。

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通常移動での聞き込みに加え、主観視点による調査も可能。
R(L)ボタンを押している間は視点が一人称になり、物を「注目」することでより詳しく調べられる。
例えば、机の引き出しを「注目」すると、視点が引き出しにロックオンする。
この状態で更にボタンを押すと引き出しを開け、中身を確認出来るという寸法だ。
この「注目」は頻繁に使う行動なので、何度も繰り返して慣れておこう。

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特定の場所では涼の回想シーンが始まる

冷蔵庫を開ける、ごみ箱を覗き込む、インターホンを鳴らす、電気を点ける、階段の下からスカートを覗く、ネコを眺める、ラジカセを聴く、駄菓子を買う…etc。
とにかく色々出来るので試してみよう。
台所を開けた時に出て来るゴキブリまで再現されている細かさには驚き。

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写真は裏側まで見られる
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懐かしい黒電話のダイヤルを回す

涼はメモ魔で、人から新たな情報を聞いたりする度に、手帳に情報を書き込んでいく。
かなり几帳面な性格とみた。
更新された時は画面に手帳のサインが出るので親切だ。
手帳はXボタンでいつでも見られるので、こまめに見て進捗を確認しながらゲームを進めよう。

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昭和の頃、電話番号は気合で記憶していた(笑)

物語を進行していくと、時々戦闘(喧嘩)が発生することがあり、その場合は対戦格闘ばりに闘うことになる。
セガが作っただけあって操作感覚はバーチャファイターに酷似しており、パンチ・キック・防御・投げと一通りのアクションをこなせる。技の出し方はコマンド式で、「前前パンチ」等のように入力する。
出し方が分からない時は技表画面で確認しよう。

涼はダメージを受けても時間経過で回復するので、敵が強い時は逃げて時間を稼ぐといい。
どうしても勝てない場合は救済措置が取られ、何度も死んでいると徐々に難易度が下がっていき、最終的には涼が無敵になる。子供からお年寄りまでプレイ出来るゲームを目指していた鈴木裕氏のこだわりがここにある。(なぜか八極拳の技が盛り込まれているところも氏のこだわり?)

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技表で習熟度も確認できる
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技は書物で修得(自力での修得も可能)

もう一つ個性的なシステムでQTE(クイック・タイマー・イベント)というものがある。
これは、ある状況になると突入し、画面に出たボタンを素早く押していくというイベントである。

ダイナマイト刑事』(セガ)や『バイオハザード 4』(カプコン)でも同様のシステムがあったのでご存知の方もいらっしゃることでしょう。成功すれば有利に展開し、失敗すれば不利に、最悪ゲームオーバーとなる。
物語の進行によっては強制的に発生するイベントで、失敗してもやり直せるのであまり心配はいらないが、何度も同じシーンを見るハメになるので、なるべく早い段階でクリアしたいところだ。

謎の中国人に謎の鏡、父の仇を討つべく闘いに身を投じて成長する息子。これだけ聞くと昔の香港映画のようなチープ臭を感じ取るかもしれないが、ジャッキー・チェン好きな筆者にはストライクなゲームだった。

特に、調査を進める傍ら、近所の公園や駐車場で武術の練習をする涼の漢っぷりに萌えた。
若かりし頃に空手を修めていた筆者も、近所の公園で修行していた頃があっただけに、このゲームにはかなり共感したことを覚えている。
個人的に、近所のおじさんが実は武術の達人で、涼に技を伝授してくれるイベントが感涙ものだった。

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公園で夜遅くまで修行する涼

本作のヒロインである原崎 望の存在も忘れてはならない。
声を安 めぐみが当てているのだが、役柄が普通の女子高生なので、素人っぽい棒読みがかえってリアルかつ萌えるというミラクルが発生。等身大の女子高生を上手く表現することに成功(?)している。
ただしこのゲームにおける、原崎ファンの増加と安のグラビア人気急上昇の因果関係は定かでは無い。
ついでに言うと、巌の声は藤岡 弘、(せがた三四郎)でこちらは激シブ。

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悪漢に拉致される原崎
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バイクに乗って怒りの救出!

本作はサブゲームが豊富で、寄り道も楽しみの一つ。
昔の少年を虜にしたガチャポン収集をはじめ、ゲームセンターでは数種類のゲームが楽しめる(いずれも有料だが)。
特にスペースハリアーとハング・オンはセガファンが泣いて喜ぶサプライズ。
次は是非『アフターバーナー II』でお願いします…。
続編まだ出ないけど。

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ガチャポンは今も昔も人気
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ゲーセンで懐かしの名作を遊べる

このゲーム全体に漂うレトロな雰囲気が結構好きで、昭和後期という時代設定が個人的にヒット。
一番のお気に入りは、ラストの「涼vs70人」の大立ち回り。
まるで座頭市みたいなあり得ない展開だが、ゲームなので気にしない(笑)。
続編の『シェンムー II』も面白かったが、やはり未完で終わっているのは悲しい。
(´・ω・`)……続編まだ?(しつこい)

最後におまけでシェンムーIIに収録されていたダイジェストムービーを掲載します。
これを見ればゲームの大筋が理解出来ると思います。
画像が少し粗いですがご容赦下さい。

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シェンムー 一章 横須賀” に対して4件のコメントがあります。

  1. SECRET: 0
    PASS: 7c9bd2aa21c86b00c9c0c44fc13f9e47
    シェンムーいいいですねぇ(・∀・)しかしもうそんな前になるのですね・・・
    私は結構好きなんですけど(・_・)当時厳しい評価でしたね
    |ω・)シェンムー3はいつになるんでしょうねぇ
    発売されるとしたらXbox360でしょうか・・・
    ではお邪魔しました。

  2. Bullcat より:

    SECRET: 0
    PASS: 74be16979710d4c4e7c6647856088456
    こんにちは、ゆうきかるまさん。
    シェンムー3を待ち続けて9年あまり・・・(@_@)
    当時では難しかったかもしれないけど、今の技術ならかなり良い作品になると思うのですが。
    いつか出ると信じてやまないゲームです。

  3. 歯茎良 より:

    SECRET: 0
    PASS: 5ade5cc335e8e4722d9dcd61b219456c
    よかったね。続編出るってよ!

  4. WildCat より:

    SECRET: 0
    PASS: 74be16979710d4c4e7c6647856088456
    こんにちは歯茎良さん。コメントありがとうございます。
    > よかったね。続編出るってよ!
    はいっついに待ちわびた続編IIIが出るようでカンゲキです!
    そして、I&IIがリマスター版(PS4とPC)で復活するそうで、もう嬉しすぎですね。
    PS4持ってませんけど…(;´Д`) でもこれはいつか買います!

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