ICO
対応機種 | |
ハード | プレイステーション3 |
ジャンル | アクションアドベンチャー |
発売元 | ソニー・コンピュータエンタテインメント |
発売日 | 2011年9月22日 |
大切な人を見つめ直しました。
「この人の手を離さない。僕の魂ごと離してしまう気がするから」(公式HPより)
いつだかわからない時代の、どこだかわからない場所でのお話。
出典:取扱説明書
イコには角が生えていました。
角が生えているのは村中でもイコだけでした。
村のしきたりでは角の生えたこどもがうまれるとその子は、海の上に聳え立つ誰もいないお城に"いけにえ"として捧げられることになっており、今年はイコがお城に連れていかれる年でした。
頭に角がある少年イコを操作し、謎の城から脱出するのが目的のアクションアドベンチャーゲーム。
ソニー・コンピュータエンタテインメントが2001年にPlayStation2で発売した本作は、既存の枠に捉われない独特の世界観とゲーム性でユーザー、業界共に国内外で評判を呼び、数々のゲーム関連の賞を受賞する等、今でも名作の誉れ高いゲームとして知られている。
グラフィックが突出して美しい訳ではなく、音楽もほとんど無い。さらにプレイヤーに与えられる情報は少なく、登場人物は数えるほどでセリフもたまにあるだけ。画面から伝わるのは風や潮騒が奏でる自然の音と、古めかしい城内の冷たい空気感…。かなり静かで暗い雰囲気のあるゲームだが、良く言うと幻想的な雰囲気に満ちたゲームであるとも言える。
時折見せる光と影のコントラストの美しさや、目も眩むような高所の表現はお見事の一言。
派手さはないものの独特の味があり、おとぎの国に迷い込んだような雰囲気を楽しむことに重点を置いた…そんな作品だと感じられる。分類するならば、ビジュアル系ではなくメンタル系といった感じだ。
ちなみに今回レビューしているのは2011年に発売されたPlayStation3のリマスター版で、同時発売された『ワンダと巨像』と同じくHD(高精細度画像)と3Dに対応している。
絵本のようで質素な作りの説明書も趣向が凝らされていて面白い。操作方法やシステム等を事務的に説明するだけでなく、ゲーム内容を物語仕立ての文章で説明しているのは新鮮で、このゲームの世界観によくマッチしていると感じた。
物語はイコが三人の人物によって城に連れて来られるところから始まる。
ゲーム内でストーリー等の説明が一切ないので、おとぎ話のようでシンプルな世界観ながら、イコがいる場所はおろか登場人物の名前も分からず、説明書を読まないとイコが置かれている状況すら分からないだろう。それほど情報が少ないゲームなのだが、逆に考えると余計な情報がない分、これからどんな物語が展開されるのかという冒険心を駆り立てられるものがある。たどたどしい足取りで城内を進む中、「この先どうなるんだろう」と先が気になる作りだ。
序盤でイコはある少女と出会う。
巨大な鉄の鳥籠の中に居る、白く鈍い光を放つ妖精のような少女。
イコは、少女も自分のようにこの城に捕らわれているのだと思い、鉄の鳥籠から少女を解放する。
そして、手を取って一緒に脱出しようと云う。
しかし、少女は不思議な言葉を使い、何を言っているのか分からないのだった…。
ここから、このゲームのメインであり最大の売りといっていい「手をつないで少女と一緒に行動する」システムが始まる。
R1を押すと少女を呼び寄せ、更に近づいた状態でR1を押すと手をつなぐ。そしてそのまま移動すれば少女を連れて自由に行動することができる。作中の大部分は少女と手をつないだ状態になるので、早いうちにこの操作に慣れておこう。
広大な城から脱出するには、高低差のあるフィールドを駆け回り、仕掛けられた謎を解き明かし、時には敵と戦い、数々の苦難を乗り越えなければならない。そしてそのためには、不思議な力を持つ少女の協力が絶対に必要となる。
城内は迷路のように入り組んだ複雑な構造になっているが、実際には幾つかの小さなエリアに分かれており、エリアとエリアのつなぎ目を塞ぐ石像の前まで少女を連れて行くことによって石像が開かれ、先に進めるようになっている。要はこれを繰り返すことで城内の探索が進んでいき、多少の分岐点を除いては基本的に一本道である。
イコと少女では行動力が違い、イコは高い所に登ったり足場の悪い場所も通れるが、少女は非力でイコの助けがないとほとんど動けない。基本は手をつないで少女を連れ廻りながら先に進むための仕掛けを解いていくことになるが、場所によってはイコだけ単独行動を取り、謎を解く必要が出て来る。この時は迅速に行動し、出来るだけ早く少女の元に戻るよう心がけること。なぜかというと、黒い影か煙のような敵が常に少女を連れ去ろうと狙っているからである。
先に進んでいくと、時々、黒い煙状の敵が襲い掛かって来るので、棒などで攻撃して撃退する。
この時注意したいのは、敵が狙っているのはイコではなく少女であるということ。
黒い敵は、少女を抱え上げるとすぐに黒い渦巻きのような穴に引きずり込もうとする。
連れていかれたら急いで追いかけ、少女を救い出そう。
もし黒い渦巻きに引き込まれそうになり、少女の身体が見えなくなっても、急いで引き揚げれば間に合うので諦めないように。イコは敵の攻撃で死ぬことはないが、少女が黒い渦巻きに完全に引き込まれてしまうとゲームオーバーとなる。
イコの基本アクションは、ジャンプ、攻撃、○ボタンでロープや鎖に掴まったまま反動をつける、スイッチ等を作動させる、出っ張りに掴まる、壁伝いに歩く、高所から少女を引き揚げる、少女のジャンプを受け止める…など。
高い所から落ちると死ぬので、細い通路や足場が悪い場所では○ボタンを押しながら移動してゆっくり歩こう。
ちなみにキーコンフィグが可能で、自分の操作しやすいボタン配置にするとよい。
全体的に城内は画面が暗く、入口やハシゴ類が見づらい場面があったのが気になる。
先に進めなくなって詰まってしまったら何かを見落としている可能性があるので、フィールドを隅々まで移動し、怪しい箇所は実際にそこまで行けるか確認しよう。画面には文字やゲージ類が一切表示されないため、画面の中から謎を解くカギを見つけ出すことになる。
「あそこに掴まれそうだな~」とか「もしかして、このロープを…」といった感じで柔軟な発想を以って挑むことを心掛けよう。
鉄の鳥篭から救い出した謎の少女…。
少女とは言葉が通じないので名前も分からないが、中盤である人物との会話によって少女の名前と生い立ちが(ある程度)判明する。
これを知ったイコは、少女と再び手を取り合い、共に脱出することを誓うのだった…。
音楽もほとんどなく、静かなゲームで暗い印象があり、カメラワークや視点の見づらさといった不満点もあるが、謎だらけの状況下でも城から出ようと必死にもがくイコの頑張りに心打たれるものがある。
そして"少女を助けたい"一心で手を取り合う純粋な優しさ。
この二人を最後まで逃がしてあげたいという気持ちになり、ラストはとても晴々とした感動的なものでした。
エンディングで流れる寂しく切ない歌は必ず聴いてほしい。
作中で幾度となく目にする"手を取り合う"場面からは、現実世界でも、いつも傍らにいる人の大切さを改めて考えさせられる…そんな気持ちにさせてくれる作品でした。
本作はノベライズされており、宮部みゆき著「ICO -霧の城-」の題名で出版されている。
これは作者である宮部氏がこのゲームをたいそう気に入り、ぜひ(小説に)書かせてほしいという本人の希望で実現したそうで、小説では、イコが城に連れて来られる前の村での様子や、謎の少女が城でどういう生活を送っていたか等、ゲームでは語られなかったアウターな部分が楽しめるので、興味のある方は読んでみることをお勧めします。
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今晩は
このゲームは未プレイなんですよね~確か最初はPS2ですよね?
世界感やストーリーには惹かれる物の実際プレイするとなると
二の足を踏んじゃう感じで結局違うソフトを買っていた気がし
ます。
今となっては・・・まだレトロゲームと呼ぶには早いですね(^^;
PS3版が出ているようですね・・・折角だから買ってみようかな
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コメントありがとうございます。
私もnemurinekoさんと同じく未プレイで、小説を読んでからゲームしたクチです。
今ではPS3版がダウンロードでも購入できるので割とお手軽にプレイできると思います。
本当に良い時代になりました。(´ー`)
確かにまだレトロゲームと呼ぶには早い作品ですね(笑)
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うちもそろそろICOレビューしようかと思ってます。
内容がかぶらないように、自分のをまとめてからまた参照させていただきますね(笑)。
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こんにちは!
ペケペケさんもICO&ワンダBOXを所持してらっしゃいましたね。
最近、昔の名作のHDリマスター版が安価でリリースされるのが増えてきて嬉しい限りです。
この作品の幻想的な雰囲気をより際立たせるには、HD化はまさにピッタリだと思います。
レビューを楽しみにしています(´ー`)