スナッチャー

スナッチャー
対応機種PCE_cdromPs01ss1
ハードPCエンジン SUPER CD-ROM2
ジャンルアドベンチャー
発売元コナミ
発売日1992年10月23日

あなたの隣人は、本当に人間ですか?……。
コナミの有名人、小島秀夫氏渾身のサイバーパンク・アドベンチャー。

近未来の日本を舞台に、謎のクリーチャーとの戦いを描くSFアドベンチャーで、監督はメタルギアシリーズで有名な小島秀夫氏。PC88・MSX時代から、もの凄く緻密な世界観を作り上げることで知られる氏の作品だけあって、ゲーム内の世界設定、事件、文化、歴史等がこれでもかという凝り具合で、しかもそれ専用の解説書まで同梱されているというこだわりよう。
「誰が読むねん!!」ってくらい分厚く、これだけで映画が1本作れるんじゃないかという内容だが、そういう部分まで手を抜かないところが小島氏らしいといえる。

スナッチャー
教科書みたいに細かい解説書
スナッチャー
ストーリー漫画まで載ってました

本作PCエンジン版は未完成だったPC版の"完全版"という触れ込みで大々的に宣伝され、ファンにとっては待ち焦がれた作品だった。数年後にはプレイステーションとセガサターンにも移植されたが、プレイステーション版は残酷描写の規制が厳しく、一部グラフィックにモザイクが掛かっているので注意。

スナッチャー
スナッチャー
スナッチャー

ゲームの舞台は、瀬戸内海に浮かぶ人工島ネオ・コウベ・シティ。
ここは国際都市として誕生し、様々な人種、民族の入居を許可、文化と技術交流を意図したコスモポリスであったが、結果的には"人種のルツボ"を海上につくることとなった。
今では犯罪者、ミュータントの巣窟と化し、世界で第1位、2位を争う犯罪都市(クライムビル)となっている。

ストーリー

西暦2042年12月。人類は異常な危機に直面する。
謎の生命体、バイオロイドの出現である。
国籍、目的、正体不明。某国の新兵器か?宇宙からの侵略者(エイリアン)か?
彼等は冬になると現れ、人を殺害、密かに本人とすり替わり、社会に浸透していく。
人工の皮膚を纏い、汗をかき血を流すことも出来る。極めて有機的、かつ無機体そのもの。
オリジナルとの見分けがほとんどつかない。
彼等は人の身体を奪いすり替わる(スナッチ)ことから、スナッチャーと呼ばれた。

人か、スナッチャーか?
極限の恐怖は対スナッチャー用特殊警察班を生んだ。
それは......「Judgement Uninfected Naked Kind & Execute Ranger」

人々は彼等をJUNKER(ジャンカー:屑鉄処理人)と呼んだ。

出典:設定資料集

主人公は新任JUNKERのギリアン・シード。
3年前にシベリア中立領土より、妻のジェミー・シードと共に助け出されたが、過去の記憶を失っている。その後は軍で特殊訓練を受け、2042年にネオ・コウベ・シティに赴任して来るところからゲームが始まる。

人かスナッチャーかを見極め処理することに加え、スナッチャーの正体・目的の解明、撲滅させるという任務も背負っているギリアンは、相棒のメタルギアmk-IIと共に捜査に乗り出す。

スナッチャー
受付嬢ミカ・スレイトン
スナッチャー
局長ベンソン・カニンガム
スナッチャー
トライサイクルに乗り込む二人

ゲームの基本はコマンド選択型で、文章を読んでストーリーを進める一般的なタイプ。
時々戦闘が入り、セレクトボタンで銃を構えて戦う場面があるので、いつでも銃を抜く心構えが必要。
敵の攻撃でライフが無くなるとゲームオーバーとなるが、9分割された画面の的を撃つだけという簡単な仕様で、戦闘終了後は体力が全快するので、アクションが苦手な人でもそれほど難しくはない。

スナッチャー
スナッチャー

難易度は比較的やさしめで、テキストをよく読んでいれば詰まることは無いレベル。
ただし、東欧諸国、旧ソ連を中心とした社会情勢や化学に関する専門用語等が頻繁に出て来るので、中学生程度の知識がないとまともに理解するのは難しいかもしれない。

基本的な謎解きと推理力はある程度必要で、時にはキーワードを直接入力する場面もあるため、単なるコマンド総当たりだけでは先に進めないようになっている。とはいえ、ヒントは適宜出されるしメタルギアが丁寧に解説してくれるので心配無用。

スナッチャー
スナッチャー
スナッチャー

冒頭で先輩JUNKERのジャンがスナッチャーに殺され、現場に残された痕跡を基に捜査を始めるギリアンだったが、犯人(スナッチャー)を追う内に数々の謎と容疑者が浮上し、やがて事件は急展開、最終的には国を巻き込んだ大いなる陰謀に辿り着く。

近未来らしく科学捜査を駆使した展開は、ちょっと進んだ刑事もの2時間ドラマを観ているようで、特に毛髪や皮膚細胞から犯人像を分析したり、死体の腐乱状態から死亡推定時期を割り出すところなんかは雰囲気が出ていて、いっぱしの刑事気分が味わえる。

スナッチャー
スナッチャー
スナッチャー

JUNKER5箇条という法律があり、その中の一つに、スナッチャーだと断定出来る証拠が無いと容疑者を直接検査出来ないという規則がある。これは現代でいう捜査令状で、裁判所により発行された「スキャニング令状」が無ければ、本人へのいかなるセンサー類による科学的スキャンは禁止されている。(民事法第18条第12項、スナッチャー問題に関する人権保護)

これはゲーム設定のごく一部で、他にも妙にリアルな設定や、作中でメタルギアが理路整然と科学捜査をする様は見ていて感心するほどよく作り込まれている。メタルギアシリーズでもそうだが、これも小島ゲームのこだわりといえるだろう。

スナッチャー
ジャンが遺した捜査ファイルの一部
スナッチャー
モンタージュを作成する場面もある

ゲームの時代設定は2042年という架空のものだが、東西冷戦時代をベースにした時代背景はフィクションながらもかなりリアルで、やっていると社会の勉強にもなるので一石二鳥だ。筆者はこのゲームのお陰でモスクワの赤の広場やワシリー寺院の名前を覚えた。

豪華声優陣の演技にも注目したい。
総セリフ時間は4時間に及び、キャストそれぞれが迫真のアフレコでゲームを盛り上げる。
ハードな世界観でありながら、ギリアンとメタルギアの軽妙なトークとギャグで緊張を和らげられたプレイヤーも多かっただろう。主演の屋良有作氏をはじめ、第一線級のベテラン声優が脇を固める中、個人的に好きだった故・塩沢兼人氏が最後に演じる見事な一人二役は必聴。

密かに人間とすり替わるスナッチャーとは一体何者なのか。その謎を解くには、地道な情報収集と柔軟な推理、人かスナッチャーかという疑心暗鬼に打ち勝つ勇気が必要。それを乗り越えた時、PC版では語られなかった衝撃の結末が待っている。

スナッチャー
スナッチャー
スナッチャー

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スナッチャー” に対して10件のコメントがあります。

  1. うぇるど より:

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    Bullcat さん、こんばんは。
    「ゲームのある日々」 の うぇるど です。
    ゲーム界の革命児・小島秀夫監督の名作ですね!
    私はPCE版を持ってます・・・が、
    未だにプレイできてませんw
    私は 「スナッチャー」 と評価が二分される 「ポリスノーツ」 が大好きです!
    プレイしたのはPS版で、改めて小島監督の凄さを知りました。
    小島監督 = メタルギアソリッド なのはもったいないですよねw

  2. Bullcat より:

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    こんにちは、うぇるどさん。私もポリスノーツは昔やりました。
    スナッチャーを更に上回る出来だった印象があります。小島監督も声優としてこっそり出演してましたね。
    アニメーションが綺麗で今やっても古さを感じないと思います( ´∀`)

  3. めでる。 より:

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    こんばんは。
    私もスナッチャーをサターン版でやりました。
    結構設定作り込まれてるのに、色んなところに遊び心もある、良い作品ですよね。
    今やるには古臭さが目立つんですけど、それがまた、良い味だと思います。
    声優さんも、どれもはまり役で、メタル可愛いw
    私も塩沢さんの声が好きでした。こういうミステリアスなキャラは、塩沢さんいい味出してるんですよね。ポリスノーツでも。

  4. Bullcat より:

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    PASS: 74be16979710d4c4e7c6647856088456
    めでる。さんこんばんは。
    セガサターン版スナッチャーをやられたんですね。
    私はSS版もPS版も両方やった事ありますが、先にやっていたPCエンジン版の方が印象深いです。
    もう塩沢氏の渋い声が聞けないのは本当に残念です。

  5. ななくさ こと 発電娘娘 より:

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     すごいリアルな画像ですね。
     ちょっとゾワっとしました。
     いろいろと豪華なゲームで、やってみたいです。

  6. Bullcat より:

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    こんばんは、発電娘娘さん。
    当時は最先端のグラフィックで、感動しながらプレイしていました。
    よく作り込まれていて今でもお勧めのゲームですね。

  7. アルパインスター より:

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    いやー、懐かしいですねー。
    友人がPC88(だったかな?)のやつで遊んでて、当時は完結してなかったのを覚えてます。

  8. Bullcat より:

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    はじめまして、アルパインスターさん。
    スナッチャーは全3章構成ですけど、PC版は2章で終わってて未完でした。
    PCエンジン版でめでたく完結した訳ですが、当時はパイロット盤が出て、コナミの広報娘・早坂さんが宣伝してかなり盛り上がってた記憶があります。

  9. 匿名 より:

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    こんばんは。
    私はPCE版のスナッチャーを初めてやった口なのですが、(確か発売して間もなかったころだと思います。)
    PS、SS版もありますが私個人はPCEのBGMのほうがハード上の制約もあってか音が多機種よりもシンプルでありそこがかえって恐怖心を煽ってた様な気がするのでPCE版が一番印象深かったです。

  10. Bullcat より:

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    下手に綺麗なグラフィックで演出するより、単純なドット絵の方がかえって怖かったりする事がありますね。
    音についても同じ事が言えるかもしれません。(´ー`)
    私もスナッチャーはPCE版が一番好きです。

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