電脳戦機バーチャロン オラトリオ・タングラム
対応機種 | |
ハード | ドリームキャスト |
ジャンル | 対戦アクション |
発売元 | セガ・エンタープライゼス |
発売日 | 1999年12月9日 |
前作に輪をかけて操作が複雑になった。
全国のゲーセンに戦火が及んだ伝説の戦い、第二次バーチャロン大戦勃発!
1995年にアーケードで人気を博した『電脳戦機バーチャロン』の正式な続編で、混迷する各地ゲーセンの戦況を更に深刻化させたゲーム。2本のレバーを使って遊ぶスタイルは前作と変わらず、今回はより操作が複雑化した。
ストーリーは前作の数年後で、人型戦闘兵器バーチャロイドを駆って企業間の代理戦争を繰り広げるところも前作同様。今回はDNAとRNAという陣営に分かれて戦う他、タングラムという機構の謎に迫る側面もある。
異様に作り込まれた世界観はなかなか理解が難しく、ファンならムックや攻略本が必要不可欠とされたが、単に遊ぶだけならとにかく実地でレバーを握って訓練あるのみだ。
レバーの基本構造は、人差し指のトリガー(右・左)、親指のダッシュボタン(右・左)、スタートボタン(一部機体の特殊操作に必要)となっており、構造だけ見れば前作と変わらない。しかし、今回はトリガーとダッシュの組み合わせで多種多彩なアクションが起こせるようになっており、やれることが劇的に増えている。
とりあえずダッシュキャンセルとジャンプキャンセルが出来れば何とかなっていた前作と違い、プレイヤーのレベルが高くなっている現状を鑑みると、全ての操作方法を覚えるくらいの覚悟で挑まないと実戦でコテンパンに殺られる可能性が高い。
以下に、新アクションとなる代表的なものを紹介しよう。
なお、記事中では右トリガーをRW(ライトウェポン)、左トリガーをLW(レフトウェポン)、左右同時押しをCW(センターウェポン)と表記する。
その他、基本的な操作方法等は過去記事『電脳戦機バーチャロン』を参照。
新アクション | 内容 |
ダッシュキャンセル | ダッシュ中にダッシュボタンを押すだけでキャンセル出来るようになった ※前作のようにダッシュ方向と逆にレバーを入れて押す必要は無くなった |
空中ダッシュ | 待望の空中ダッシュが追加 空中ダッシュ攻撃と地上ダッシュ攻撃は異なる |
バーティカルターン | ダッシュ中、レバーを倒した方に方向転換するようになった ただし一度レバーをニュートラルにしてから倒す必要があり、方向転換可能な角度も決まっている 空中でも有効 |
ダッシュスライディング攻撃 | 地上ダッシュ中にしゃがみ攻撃を出せるようになった 空中では不可 |
ターボ攻撃 | 本作最大の目玉と言える新要素 トリガーとダッシュボタンを同時に押すことによって、通常より強力な攻撃が可能 RT(ライトターボ)・LT(レフトターボ)があり、それぞれ立ち・しゃがみ・空中で性能が変わる |
ターボ近接 | 近接攻撃もターボに対応(近距離でRTRW・RTLW・RTCW) |
ジャンプ近接 | ジャンプと同時にトリガーを引くと小ジャンプ攻撃を繰り出す |
ダッシュ近接 | 前方ダッシュ中に近接攻撃を出せるようになった やり方はダッシュ中にレバーを手前に倒しつつトリガー RW・LW・CWでそれぞれ攻撃が異なる |
二段ジャンプ | ジャンプ上昇中に再度左右のレバーを外側に倒せば、僅かだが再浮上するようになった また、落下中に同様の操作をすると、僅かに落下速度を抑えられる |
クイックステップ | 近接距離時、ダッシュボタンを押してすぐにレバーを倒すとステップする(8方向) ボタンとレバーが同時だと単なるダッシュに化けるので注意 また、レバーを倒す時にトリガーを一緒に引けばステップ近接攻撃を出せる |
ダウン攻撃 | ダウン中の相手に対し、一発だけ追撃可能 近接距離では専用のダウン攻撃も出せる |
他には新たにVアーマーという要素が導入。
これは、各バーチャロイドの耐久値とは別に設定された"装甲値"で、Vアーマー値が高いバーチャロイドほどダメージを与え難くなっている。Vアーマーは距離が遠いほど効果が高く、最もアーマー値が高いドルドレイなんかだと、かなり接近しないとマシンガンが弾かれてしまうほどだ。
ただし、Vアーマー値を削る攻撃(主にLTRW)があるため過信は禁物。序盤はLTRWで相手のVアーマーをある程度削り、後半で威力の高い攻撃を叩き込むのが基本と言われている。
使用する機体は、テムジン、ライデン、フェイ-イェン・ザ・ナイトの従来機系、名前や姿が若干変わったサイファー(旧バイパーII)、グリス-ボック(旧ベルグドル)、ドルドレイ(旧ドルカス)、バル-バドス(旧バル・バス・バウ)、アファームド・ザ・バトラー(旧アファームド)の後継機系、完全新キャラとなるスペシネフ、エンジェラン、アファームド・ザ・ストライカーの全11機。
前作から数年後という設定なので、各バーチャロイドの性能も軒並みパワーアップ。
また、MODEL3で開発されているだけあり見た目もかなり格好良くなった。
膨大な数の操縦テクニックを覚える必要があるのだが、頭では理解していても実際に動かすとなると相当な練習が必要となる。とにかく実践経験がものを言うゲームで、相手との駆け引きや高度な戦術を練る前にまず、まともにバーチャロイドを動かせるようにならないと話にならない。
筆者はゲーセンで練習した後帰宅し、寝る時に頭の中で戦闘シミュレーションをやっていたものだが、今考えたらかなりアホです(笑)。
やり込みが極まってくると、開幕時の相手の動きを見ただけで「こいつはニュータイプだ」と力量が即座に分かるようになるが、さすがに度が過ぎると病院紹介されるので注意が必要だ。操作を全て覚えるとまではいかないにしても、せめて自分が操る機体くらいは一通りのアクションをこなせるようになっておきたい。
前作の戦闘では、相手の出方を伺って様子を探り、隙が生じたら攻撃を加えるという、いわゆる後出し戦法が有効だったが、本作は空中ダッシュが可能となったため、キャンセルを駆使して"絶えず動き回る相手"を捕捉するのが非常に難しくなっている。
隙が大きいダッシュ攻撃後を狙おうにも、ジャンプから超高速で空中ダッシュに繋げればほぼ止まらずに動けることから、上級者同士になると僅かな隙を逃さず突いていくシビアな戦いになりがちだ。
本シリーズの対戦において勝敗を左右する主な要因は、機体性能よりもプレイヤーの操縦スキルによるところが大きく、どの機体を使っても腕さえあれば勝てるバランスになっているため、機体の違いは負けた時の言い訳にはなり得ない。逆に考えれば、バーチャロイドの性能の違いが戦力の決定的差でないことを教える機会にもなるので、常に上を目指して頑張ろう。
ゲーセンに来るプレイヤー達は大体プライドが高く、それぞれ想い入れのある機体を駆り、最強を目指してコンマ数秒の世界でしのぎを削っていた熱い時代は確かに存在する。やがて勝負がヒートアップすると、普通の対戦では物足りないのか、数々のローカルルールが生まれたのもこの頃。
ジャンプ禁止、近接攻撃のみで戦う等、仲間内で制約を課す対戦プレイが流行し、一例としてライデンステージの中央にある広い建造物を武闘場に見立て、その上で壮絶な殴り合いをしている光景を見たこともある。
他には人気レース漫画「頭文字D」のガムテープ・デスマッチを真似して、右手とレバーをガムテープで固定して対戦するという強者までいたとかいないとか…(冷静に考えると意味が無い)。
間違い無く出入り禁止になるので良い子は真似しないように。
筆者もゲーセンでかなりの額を費やし、馬鹿の一つ覚えのように訓練していた頃が懐かしい。
あの頃のゲーセンに漂う空気、飛び交う怒号、鳴り響く爆音、今となっては過去の思い出である。
…が、近年ではXbox360に移植され、Xbox Liveで往年の盛り上がりを見せているという嬉しいニュースもある。
いい時代になりました。